浜松ストーカー殺人事件
事件概要

2018年11月1日午後11時頃、静岡県浜松市中区のフィリピン料理店で、客として訪れていたフィリピン国籍の職業不詳ハガ・ロエンナ・カシミロさん(当時48歳)が刃物のようなもので複数回刺され血を流して倒れているのを同店の店主が発見し、すぐに病院に搬送されたが間も無く死亡が確認された。

殺害されたフィリピン国籍の職業不詳 ハガ・ロエンナ・カシミロさん(当時48歳)

 

静岡県警浜松中央署は、殺人事件として緊急配備を行った結果、事件から約4時間後の11月2日午前3時頃、自家用車にて逃走していた浜松市に住む自称無職の山口泰正容疑者(当時45歳)を殺人容疑で逮捕した。
事件当時、店は営業中で店内にて一人で食事をしていたハガさんの元に山口が現れ、店内で口論となり店主が通報するために外に出た際に、山口に内側から鍵を閉められしばらくして鍵が開くと山口は店から逃げ出し店主が店内に戻るとハガさんが血を流し倒れていたとういう。
凶器に使った刃物は、店内にあった包丁であった。
静岡県警によると、ハガさんと山口は元交際相手であったが、同年6月頃にストーカー被害に遭っている相談を受けており、ストーカー規制法に基づき山口に警告を行なっていた。

犯人の自称無職 山口泰正(当時45歳)

 

 

背景

2018年6月頃からハガさんは、天竜署を訪れ山口からのストーカー行為について相談していた。
相談に訪れるきっかけは、山口からの電話やメールなどの執拗に復縁を迫り、自宅付近での待ち伏せによるストーカー被害についてだ。
二人が出会ったのは2017年で、交際を始めた後も別れや復縁を繰り返していたとみられる。
そして2018年の6月頃、ハガさんは山口に別れを告げたが、その直後から数日間にわたり復縁を訴えるメールが10件ほど続き、自宅にも押しかけてきたという。
ハガさんは、山口が自宅に来た際に天竜署に通報し、数日後に天竜署はストーカー規制法に基づき書面での警告を行ない、山口も警告に対し素直に応じたという。
10月に入り、ハガさんは天竜署に「もう大丈夫」と連絡をしていた。
警告後、天竜署にトラブルがあったという相談がなかったためその時点で対応を打ち切っていた。
ところが警察に相談してはいなかったが、7月ごろからハガさんはこのフィリピン料理店で働き始めており、山口は警告後も週に3回程度来店していた。
深夜から閉店間際までお店におり、「一緒に帰ろう」などとハガさんを誘っていたが、それを嫌がっていたハガさんを店側が自宅まで送っていた。

事件のあった静岡県浜松市中区のフィリピン料理店付近

 

この他にも、山口は夜中に電話やメールをするなどハガさんを悩ませていた。
その事実について、ハガさんも店側も警察に相談していなかった。
さらに山口は無料通信アプリで「ハガさんと付き合っています」という内容を投稿しており、投稿を発見した店側は事件前日の10月31日に山口を呼び出し、来店禁止を言い渡した。
ところが11月1日午後11時頃、ハガさんは働いていたフィリピン料理店にて一人で食事をしていました。
山口は、SNSを通じハガさんが一人で飲食をしていることを知り禁止されているにも関わらず来店した。
山口が来店すると、ハガさんと口論になり女性店主が警察に通報するため店外へ出たところ、山口に内側から鍵をかけられハガさんと二人きりにさせてしまう。
女性店主は、ドアを叩き開けるように叫んだが山口は応じず女性店主は近隣のお店に助けを呼びに行った。
店内で口論を続けていたところ、復縁を断られ逆上した山口は調理場にあった刃物でハガさんの胸や足などを複数回刺し殺害した。
ハガさんを殺害後、山口はドアの鍵を開け外に飛び出し逃走した。
店主が中に入ると、血まみれになったハガさんが調理場に倒れていた。
すぐに警察が到着し、ハガさんは病院に搬送されたが間も無く死亡した。
逃走した山口は、2日午前0時過ぎに知人男性に電話し「人を刺しちゃった」と連絡を入れた。
その後、知人男性宅に姿を見せ知人からは出頭するよう説得されるが、応じずにタクシーに乗り自宅へ帰った。
一旦自宅に戻った山口は、自身の所有する白い乗用車で外出する。
通報を受け、犯人を追う静岡県警浜松中央署は緊急配備を敷き、犯人の行方を追う中で午前2時ごろ山口の行方を掴む。
山口は、警察署員に発見された後も乗用車で逃走を続けたが捜査車両やパトカーが次々と路地を塞ぎ次第に追い込んでいく。
そして午前3時ごろ、再び知人男性宅付近にもどって来たところ車を停車させ車をおりたところ10人ほどの捜査員に取り囲まれると、素直に両手を前に出し殺人容疑で逮捕された。
浜松中央署では、山口が強い殺意を持って衝動的に犯行に及んだとみて捜査している。